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朝方、滞在しているティマラフシを出た船は、
インド洋を南下して、
昼ごろ、名前の知らない他のアトル(環礁)に到着。
さっそく、釣ったトビウオで昼飯にする。
島民の用事が済むまで、
港近くの海で泳ぐことにした。
ここの海は、遠浅でサンゴがないせいか、
縞アジしかいない。
泳ぐのもあきたので、
島の中をぶらつく。
モルディブの家や塀は、
サンゴでできている。
首都のマレでは、家が急に増えたので、
建材として利用するサンゴが乱獲され
自然破壊がすすんでいると聞いた。
男たちが用事を済ませて帰ってくると、
日帰りの予定だったので急いで帰路に就いた。
しかし、途中でみるみる
暗雲が立ち込めてきた。
遠くの方に発生した黒雲が、
カエルを捕まえる蛇のようにぐんぐんと
我々のドーニ(帆船)に向かって近づいたか思うと、
今までの青空は一変して嵐になった。
大海に浮かぶ木の葉のように、
ドーニが波に弄ばれ横揺れし始めると、
さすがに同乗していた子供は機関室の中に避難させられた。
大きな波が容赦なくやってきては、
バケツの水を頭から被ったときのように、
海水で全身がびしょぬれになる。
風が強いので、
からだが冷えてきてガタガタと震えてくる。
船酔いに弱い私が昼飯をもどし始めると、
船内を汚物で汚されてはたまらないと思った男たちは、
「海に吐け!」と指示する。
しかし立ち上がるとまた吐き気がしてきて、
「ゲーッ!」っともどす。
そうすると船内を汚すなと怒鳴られる。
まったく最悪の状態だ。
このときはさすがに死の影が脳裏をかすめた。
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